PROJECT STORY
GLOBAL
OPERATIONS IN VIETNAM
世界の製造拠点として
急浮上、
秘めたポテンシャルは計り知れない
住宅から物流施設まで、
あらゆるニーズに対応していく。
PROJECT STORY
GLOBAL
OPERATIONS IN VIETNAM
住宅から物流施設まで、
あらゆるニーズに対応していく。
軍地 雄介
三菱地所ベトナム社
ゼネラル・ディレクター
法学部 卒
2002年入社
縄田 祥一
三菱地所ベトナム社
コンサルタント
国際教養学部 卒
2014年入社
※所属、掲載内容は取材当時のものです
縄田
2019年4月の現地法人設立と同時に着任したのですが、このベトナムという国のポテンシャルの大きさを日々、感じています。人口動態一つとっても、大きな可能性を感じる国ですよね?
軍地
国連が発表している中位年齢を見ても、日本が48.4歳なのに対して、ベトナムは32.5歳と若く、2040年には日本とベトナムは人口数で逆転するとも言われていますからね。2008年にシンガポールに拠点を構えた際も、東南アジアでの初めての投資を決めた先がベトナムでしたが、それは単にリターンの高さや、日本との親和性が高いからというだけでなく、こうした人口動態も理由の一つでした。
縄田
しかも、これまでは中国が世界の製造拠点でしたが、人件費の高騰や米中間の貿易戦争などによって、改めてベトナムが、中国に変わる製造拠点として世界から注目を集めています。私たちにとっても外資系企業や駐在員に向けたオフィスや住宅といったニーズが期待できますが、何よりベトナムにとって新たな雇用が生まれることで、さらなる経済成長が見込まれます。以前の日本と同様、加工貿易中心のベトナムの最大の資本ともいえる人、労働力を生かせるという点で、いよいよこの国も安定的な高度経済成長に向けたスタート地点に立ったのだということが実感されます。その現場で仕事をしている私自身、とてもエキサイトしています。
軍地
2015年まで、ベトナムでは外国人はマンションを借りることはできても、買うことはできませんでした。しかし、外資導入のためには不動産をはじめとするインフラ関連を皮切りに、市場を開放していこうという流れができています。こうしたなかで広大な更地が広がる光景を目の当たりにすると、デベロッパーとしての血が騒ぎますし、自分たちの事業を通じて外資を呼び込みながら、この国の発展に貢献したいと素直に思います。
縄田
私が三菱地所に入社したいと思ったきっかけは、丸の内や泉パークタウンのような長年にわたる面開発の取り組みを海外に輸出し、現地仕様にカスタマイズしながら、その国の発展に貢献できるような仕事がしたかったからです。それだけにいまは自分が望んだ仕事ができる環境に、このうえないやりがいを感じています。
軍地
ビジネスチャンスに富むベトナムですが、一方で社会主義の国ですから、ここでの仕事は一筋縄ではいかないという側面もあります。極論をいえば、政権が変われば法律も大きく変わる可能性すらある、そんなお国柄ですから。
縄田
行政手続きに関しては意思決定に時間もかかりますし、法律が明確ではないところも多いため、「法律に書いてないから、役所としてもすぐには判断できない」といわれるケースも少なくありません。こうしたカントリー・リスクをいかに回避しながら、案件として仕立てていくか。私たちの手腕が試されています。
軍地
そのためにもローカルパートナーと一緒に事業を進めていくことが重要ですね。現時点では私たちだけで行政協議に臨むまでの関係性は構築できていませんので、そこはローカルパートナーに頑張ってもらいながら、こちらはそのためのノウハウを提供し、開発のプランを練り、Win-Winの関係性をもって一緒に事業を進めていくことが大切です。
縄田
軍地さんにそう言われてから、私も「協業」というものをとても意識するようになりました。各担当者はオフィスだけではなく、ホテルや商業施設、物流施設も手がけます。拠点長である軍地さんからも大きな裁量を与えてもらっていますが、こうした環境下で主体的に仕事ができることは海外で働く醍醐味であり、モチベーションにもなっています。しかし同時に、一人でできることには限界があることを痛感しています。
軍地
すべてを自分でやろうとするとパンクしてしまいます。何かの事案が発生したとき、東京本社には何らかの知見、ノウハウがあるはずですから、必要に応じて本社から担当者に来てもらったって構わない。自分が会社の窓口のような機能を果たし、人と人とをつないでいく。これも私たちに課せられた大事な役割です。
縄田
以来、私も「コミュニケーション」にこだわるようになりました。立場が変われば意見が異なるのも当然。それぞれの意見にしっかりと耳を傾け、整理し、皆の思いや考えをクリアにしながら、話を前に進めていく。とりわけ自らの生い立ちから、私は日本語よりも英語が得意なだけに、よりよいコミュニケーションのお役に立てればと。
軍地
縄田くんのそうした姿勢は、三菱地所らしさでもあるだけに大事にしてもらえたらと思います。この会社の長所、美徳は、オーナーさんやそこで暮らす人たちといった「周囲の意見」や「顧客目線」というものを大事にしながら開発していこうとするところにあると思うからです。結果として、独り善がりではない、皆にとって好ましい開発へと導くことができます。
縄田
軍地さんが指摘されたユーザーフレンドリーな目線に、私は三菱地所が海外市場に参入する意義を見いだしています。先日もハノイで進めているオフィス開発案件に関して、ローカルパートナーから最初の図面が上がってきましたが、オフィスワーカーやゲストの動線といった「表側」はよく考えられていた反面で、荷捌きなどの流れといった「裏側」が一切コーディネートされていませんでした。そこで、われわれのグループ会社の協力を得て修正を施しましたが、「表側」だけでなく、むしろ「裏側」に細心の注意を払ってこそ、快適性や安全性が担保されることを私たちは知っています。
軍地
見える部分だけでなく、見えない部分にも力を注ぐ。ユーザーフレンドリーを大事にしているから、短期的な利益追求に留まらず、手がけた開発、関係するステークホルダーに対しても、長期にわたり責任をもってコミットしていく。だから東南アジア各国のローカルパートナーの人たちも、先ほど縄田くんが指摘した丸の内や泉パークタウンにお連れすると、皆さん、一様に感動してくれるのだと思います。三菱地所のこうした企業姿勢、取り組みは、国境を越えて価値を提供できるはずであり、われわれが海外で事業を手がける意義もここにあると、私も考えています。
縄田
われわれが新興国で事業を手がけることは、一つの文化の輸出でもあると思っています。快適なオフィス、生活を彩るショッピングモール、暮らしの基盤となる住宅——。三菱地所が日本でブラッシュアップしてきた知見、ノウハウを新興国でアウトプットしていくことは、よりよい生き方のサポートやクオリティ・オブ・ライフの向上にもつながるはず。私としてもそういう事業を頑張っていきたいと思っています。
軍地
ただし、そのままの輸出ではベトナムのような新興国ではコスト高となるし、お仕着せになりかねません。縄田くんの入社動機にもあったように、そこをいかにして現地仕様にカスタマイズしていくか。
縄田
はい。そこに私たち駐在員の存在意義があると考えます。
軍地
私も当地に赴任して心に誓ったのは「この国が脈々と紡いできた歴史のうえにいまの街並みがあるのだから、その文脈を断ち切るような開発だけは決してやるまい」ということでした。人間ですから、安易なところへ流れようとする誘惑に駆られることもあるでしょう。だけど、そこを踏みとどまり、真にこの国のため、この国の人たちのためになることを考え、実行していく。それを私たちの矜持、プライドにしたいですよね。
縄田
軍地さん、おっしゃっていましたよね? 「仕事は上司からもらうものではなく、自分でつくり出すものだ」って。
軍地
そうでしたね。私は入社4年目くらいに赤坂で、新しい法律に基づいたマンションの建て替えを手がけたのですが、社内初の取り組みで前例もないことから、自分で本を買い、社内・社外の専門家に教えを請いながら、一から勉強し実行しました。そのときにはじめて、「仕事とは、自分で考え、価値を生み出していくことなんだな」と腑に落ちたのです。
縄田
軍地さんのそうした原体験のようなものをいま、私はベトナムで追体験しています。
軍地
そうでしょうね、きっと。とにかく海外事業というのは、何をするにしても初めて尽くし。こうなると自分で仮説を組み立てて検証していくという繰り返しのなかでしか、答えを導き出せないですから。
縄田
だからこそいま、不動産テックなどの新しい事例にもチャレンジしてみたいと思っているんです。前任地であるシンガポール駐在時、個人的に不動産テック企業に興味があったこともあり、拠点長の許可のもと先輩と二人、様々な不動産テック企業と交流を重ねました。そして、そのなかの1社はその後、三菱地所からの出資を受け、ジョイントベンチャーを組成してビジネスパートナーになりました。
軍地
シェアハウスの進化版のようなサービスを提供する会社でしたね?
縄田
はい、そうです。ベトナムにはいろいろとハードルもあり、そのまま導入することは難しくとも、シェアハウスのようなコンセプトは、この国でもワークするのではないかと考えています。「若い国」だからこそ所得の低い若年世代に、家賃の高い中心部に住める機会をなるべく多く提供するというか。
軍地
先進事例にも果敢に取り組むことは、とてもいいことだと思います。新興国だからといって、何もいまの先進国が辿ったプロセスを経て成長していく必要はないわけだし、むしろ一足飛びに成長していく可能性は十分にあります。既成概念や固定観念にとらわれていない分、自由な発想を受け入れてもらえる土壌がありますから、私たちとしても日本では取り組みにくいチャレンジングな事例も追究していきたいですね。それこそベストプラクティスを生み出せれば、日本に逆輸入するくらいの気持ちで臨みたいですね。
縄田
私もそんな野心を抱きながら、まずは一案件を、ここベトナムで川上から川下までを担うことが目標であり、担当者として是が非でも実現したい夢でもあります。
軍地
私も抱負を語らせてもらうなら、三菱地所グループがベトナムにおいてリーディングデベロッパーと呼ばれるようになるための事業機会の獲得と組織づくりに力を注いでいきたいと思います。そして、ローカル採用を推し進めながら『三菱地所ベトナム』を上手にローカライズし、各担当に仕事をどんどん任せることで、ここで働く国内外の社員が一流のビジネスパーソンへと育つ、そんな職場環境を実現したいと考えています。
※所属、掲載内容は取材当時のものです