NANIMONO社員インタビュー
Ryosuke
Kamada
- PROFILE
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鎌田 遼介
九州支店
2019年入社
法学部 卒
入社後、xTECH営業部(現:イノベーション施設運営部)でイノベーション施設の開発・運営、国内外のスタートアップ企業への営業・誘致、アカデミア連携プロジェクトなどに従事。2023年に九州支店に異動、現在は主に『(仮称)天神1-7計画』という再開発プロジェクトに従事。
※所属部署・掲載内容は取材当時のものです
NANIMONO社員インタビュー
Ryosuke
Kamada
鎌田 遼介
九州支店
2019年入社
法学部 卒
入社後、xTECH営業部(現:イノベーション施設運営部)でイノベーション施設の開発・運営、国内外のスタートアップ企業への営業・誘致、アカデミア連携プロジェクトなどに従事。2023年に九州支店に異動、現在は主に『(仮称)天神1-7計画』という再開発プロジェクトに従事。
※所属部署・掲載内容は取材当時のものです
配属されて数週間が過ぎたある日のこと、はじめて上司と営業に行くことに。お客様先に向かうタクシーのなかで、上司から「今日は鎌田が回せ」と言われました。「ん?回すとは…?」と思いつつも、お客様と名刺交換をし、いざ商談開始。当の私はと言えば終始発言もせず、記録係と化していました。しかし内心、「新入社員だし、スタートアップ業界なんて無縁の世界で生きてきたのだから仕方がない」とも思っていました。商談後、上司に誘われた酒席で言われました。「バリュー出したか?今日はいてもいなくても変わらなかったぞ。方法は問わないから、つねにバリューを出せ」と。自分のバリュー。意識すらしていなかった言葉に、頭を殴られるような衝撃を受けました。しかし、考えてみれば当然ですよね。お客様に貴重な時間を割いてもらい、進めた商談の対価として私は会社から給料をもらう。学生気分が完全に払拭され、社会に出たことを実感した瞬間でした。
創薬のスタートアップを、大手町にある当社の『Inspired.Lab』に誘致し、当社物件初となるウェットラボ(実験ラボ)を主担当として開設することができました。ウェットラボの開設は、持ち込む薬品や細菌そのもののリスク、それらが悪用されることのリスクなどの観点から、当局の規制も厳しく、越えるべきハードルがいくつもありました。また、そうした施設を大手町に開設することの風評リスクも考慮しなければなりませんでした。当社初の試みのため社内に知見もないなか、私はお客様に教えを請いながら猛勉強しました。モチベーションとなったのは、スタートアップ経営者の人柄であり、創薬を通じて難病で苦しむ人たちを救おうとする事業内容であり、彼らの力になりたいと願う自分の素直な思いでした。たとえ前例がなくとも、自分が可能性を信じ、関係者と丁寧に対話を重ねれば、数々の障害だって突破することができる。この案件は、私に大事なことを教えてくれました。また、自分たちの仕事が人の命を救う可能性もあるということを実感し、デベロッパーの仕事の裾野の広さを知ることができました。
東京医科歯科大学(現:東京科学大学)と共同で、医療・ヘルスケア領域のイノベーション拠点『TMDU Innovation Park』を立ち上げ、同大に兼務出向しました。ライフサイエンスの領域を拡大したいと考えていた私たちでしたが、やはり医療や創薬の本場は現場にあると再認識しました。一方で、その現場では使われていない研究施設が数多くありました。そこで私たちは当社が間に入り、遊休施設をスタートアップに活用してもらいながら、医者や研究者とコラボできるような事業を立ち上げました。スタートアップは、同大の研究施設を使いながら医療現場や最先端の研究領域にアクセスすることができる。同大は研究成果の社会実装や大学発のスタートアップを増やすことが期待できる。そして当社は、命を救う産業をともに育てていくことで、企業としての社会的価値を高めることができる。共存共栄の発想で取り組んだ事業は、自分のバリューから自分の仕事のバリューへと意識を拡張させ、仕事に対する使命感が芽生えました。
九州支店への異動は楽しみでした。しかし担当業務は、これまでとはまったく別領域の物件の管理や売却。オフェンスとディフェンスで例えるなら後者であり、また、チームに貢献できているという手応えも感じられず、しばらく鬱屈した日々を過ごしていました。それが態度にも出てしまっていたのでしょう。ある日、先輩から「ここで不動産の基礎知識を身に付ければ、あとのキャリアで役に立つから」という言葉をかけてもらいました。たしかに担当業務を退屈に感じていましたが、不動産のバリューチェーンのすべてに携わることができるのが支店で働く醍醐味。自らの仕事を退屈なデスクワークにしていたのは自分だと気づいた私は、以来、現場に足を運び、現場の声を聞くようになりました。そして気がついたのは、目の前の仕事を自分事に本気で落とし込んで考えられるようになった時、それが使命感となってバリューを生むのだという道理でした。
現在、福岡市中心部では「天神ビッグバン」と呼ばれる大規模再開発プロジェクトが、市の主導で進められています。2030年代までに約700棟ものビルの建て替えが見込まれており、当社初の商業施設にして商都・天神のシンボルでもあった「イムズ」跡地でも再開発が進行中です。私は建物の設計が固まった段階で担当となりましたが、社外との対話のなかで投げかけられた「多くの市民に愛されたイムズの再開発をして、利益を享受できるのは三菱地所だけではないのか」という言葉が今も耳から離れません。開発とはいったい誰のためのものなのかを大いに考えさせられ、本当の意味でのまちづくりをしようと決意しました。建物ひとつでは街に与えられる影響も限りがあります。ですが、地場企業や市民と手を取り合えば、エリア全体の価値向上が図れます。人には多面性があるからこそ、誰が訪れてもその人の「良い面」を引き出せるような、心が通うまちづくりを目指したいと思っています。
表現方法やベクトルは人それぞれですが、各人が自ら見つけたミッションに対し情熱と使命感をもって仕事をしています。それだけに人間味のある人が多いですし、プライベートも充実させ、自分の人生をきちんと楽しんでいる「なりたい大人」がたくさんいます。
「悠々として急げ」は私の好きな言葉。どんなに追い込まれた状況にあっても、心静かに余裕をもって事に当たれる人でありたいと願っています。情熱をもって自分には厳しく、他者には優しく。まだ道半ばですが、私もそんな素敵な大人になりたいです。