PROJECT STORY
JAPAN
みなとみらいから、つながる、ひろがる
みなとみらいを起点に
各エリアをつなぎ、
横浜をより魅力あふれる街へ
横浜、みなとみらいの新たな可能性を、
未来へとつなぐ
PROJECT STORY
JAPAN
みなとみらいから、つながる、ひろがる
横浜、みなとみらいの新たな可能性を、
未来へとつなぐ
駒野 誠一
三菱地所
横浜支店
経済学部 卒
2018年入社
新妻 弘紹
三菱地所
横浜支店
副主事
経済学部 卒
2017年入社
石井 光月
三菱地所
横浜支店
理工学研究科 卒
2022年入社
※所属、掲載内容は取材当時のものです
駒野
デベロッパーというと「開発」のイメージが強いですが、横浜支店勤務になって思うのは、きちんと考え、戦略をもって物件なりエリアなりを「運営」していくことが重要であるということ。開発と運営は事業の両輪であり、運営の醍醐味というものを就職活動時にはよく理解できていなかったなと、22年4月から『横浜ランドマークタワー』を私が担当するようになって実感しています。
新妻
1983年のみなとみらい21事業着工以来、三菱地所は民間最大の地権者としてみなとみらい地区の開発に携わり、1993年に『横浜ランドマークタワー』が竣工するなど、まちづくりにおいて中心的な役割を果たしてきました。そして今日では街区の開発も96%まで進捗し、開発フェーズから運営フェーズへと移行しようとしています。それだけに駒野さんがいう「運営」の重要性については、私も日々感じているところです。
石井
私は学生時代、好きな子に告白したり進路を考えたりといった重要な局面では決まって、みなとみらいを訪れていました。ここに来ると背中を押してもらえるというか、勇気づけられる気がしたからです。当時はその理由についてまでは考えもしませんでしたが、いまなら分かります。歩行者ネットワークが充実しており、要所には海があり緑があり広場がある。結果として、来街者は目的とする活動に安心して没入することができ、色々な想いや感情を発露できる場となっている。これも横浜市との信頼関係のもと、ヒューマンファーストな開発を地道に続け、その想いを代々つないできた先輩諸氏の努力の賜物、成果であると、私は考えています。
新妻
同感です。みなとみらい地区の開発フェーズにおける最大の成果は、行政主導でマスタープランをしっかりと描き、今日までの40年という長期にわたり、横浜市とともに開発を進めることができたという点にあると思います。結果的にアリーナ施設や大学のキャンパスなど、オフィスを中心とした当初のマスタープランを上回る多様な施設が集積し、複合的な魅力をもつ街となりました。
駒野
結果として、みなとみらいは平日に見せる顔と休日に見せる顔が全然違うものとなっていますよね。この二面性は『横浜ランドマークタワー』に限らず、エリア全体として備えている特性です。大丸有の再構築に先駆けて実現した姿であることを考えると、これこそがみなとみらいの大きな強み、これからの可能性だと感じます。
石井
それだけに今後はみなとみらいのさらなる価値の向上を図っていくとともに、関内・馬車道や山下・元町といった周辺エリアとも連携し、各エリアの魅力を相互に高めていくことが重要ですね。これは行政や地元の方々とも共有している想いでもあるだけに、私たち3人が個々に進めているプロジェクトもまた、今後に向けて大きな意味を持つと理解しています。
新妻
まずは私の担当プロジェクトからお話をすれば、「エリアマネジメント」に携わっています。行政やまちづくり団体とともに方向性を検討・策定し、「横浜ならでは」の魅力を創出しながらエリア全体の価値を高めていくことを目指しています。理想とするのは、みなとみらい地区単独で取り組むのではなく、周辺エリアとの相互連携を図りながら横浜都心臨海部全体での価値を高めていくこと。これが私に課せられた最大のミッションであり、同時に横浜支店全員が果たすべき重要な使命であると考えています。
駒野
私がメインで担当しているのは、『横浜ランドマークタワー』の上層階にある『横浜ロイヤルパークホテル』の大規模修繕・リニューアル計画です。開業30年を迎えた『横浜ランドマークタワー』は、設備の機能回復とホテル価値の向上を目的とし、複数年の休業を伴った大規模修繕工事に入ります。現代の建築技術をもってすれば、高層複合ビルは100年以上持つとも言われるなかで、ランドマークタワーはその先駆けとして誕生しました。当社グループのみならず、全国の新築物件がいずれ経験することになる高層複合ビルの大規模修繕工事の成功事例となるべく、見事に生まれ変わった姿をお見せしたいと精進しています。
石井
私はといえば『関内駅前地区第一種市街地再開発事業』を推進しています。隣接する横浜市庁舎の移転に伴い、分庁舎としてオフィスビルが使用されていた当該エリアでは大量の空室が発生し、関内駅前から市役所関係者や来庁者などがいなくなることで、街の人流が大きく変わろうとしていました。そこで地権者の方々により準備組合が立ち上げられ、当社コンソーシアムが事業協力者として選定され、私も担当のひとりとして事業に関わることになりました。
新妻
一見3つのプロジェクトは別個のものに見えますが、これからの横浜支店は前述のとおり、各自の取り組みを有機的につないでいく意識が重要です。そこで私も「コンテンツビジネス」とまちづくりのかけ合わせに挑戦しています。みなとみらいには大規模アリーナ施設もあるなかで、エンタメやIPコンテンツの魅力やにぎわいをエリア全体へと波及させ、ビジネスモデルとして構築できないか試行錯誤しています。たとえば、『ぴあアリーナMM』で開催されたイベントの来場者に公演前後も街を楽しんでもらえるよう、アリーナと連携してエリア内の公共空間や商業施設で連携イベントを試みました。まだ始めたばかりですが、「コンテンツビジネス」は街を訪れる人の回遊を生み、タッチポイントを増やす大きな仕組みとなるのではないかと考えています。
石井
私が担当する関内駅前の再開発においては、空港直通バスといった新しい交通アクセスを実現するための「交通広場」を設けるとともに、たとえば中華街までをデッキでつなぐなど、歩行者空間を整備することで新しい「歩行者ネットワーク」を生み出していく計画です。また、「エンターテインメント施設」や「ビジネス支援拠点」を新たに設け、これまでの関内にはなかった新しいマーケット、新しいニーズを創出することによって、関内駅前を人の流れを生み出すハブにしていきたいと考えています。
駒野
各エリアで生み出された人の流れをしっかりと受け止め、来街者を横浜に滞在させることですね。『横浜ロイヤルパークホテル』のリニューアル計画は、単に施設を刷新するのではなく、どのようなターゲット層にどういうサービスを提供すれば、横浜により多くの人を滞在させることができるのかをもう一度、見直す機会でもあると考えています。そのためにも物件オーナーの立場として、社内外の関係者とともに、プロジェクトを進めています。
提供:「関内駅前港町地区市街地再開発準備組合」及び「関内駅前北口地区市街地再開発準備組合」
石井
関内駅前の再開発においては、現在基本設計という建物の基本的な配置や用途を決めるフェーズにあり、私は基本設計図面の取りまとめ業務を進めています。施設計画については開発担当者としての想いはありつつも、実際にリーシング業務をする人や管理業務をする人の想いも汲み取る必要がありますし、なにより行政や地権者の方々の想いも大切にしたい。そうした多様な想いをひとつの図面に落とし込むことは非常に難易度が高く、どこかに重きを置けば途端にバランスが崩れてしまう。それに自分がイエスマンになってしまうと、開発担当者としての想いを乗せられなくなるだけでなく、事業そのものが前に進まなくなってしまう。つくづく難しい仕事だと感じました。
新妻
本当にそのとおりで、コンテンツビジネスにしたところでアリーナ施設と当社施設が連携できればそれで良いというわけではありません。アリーナ施設側としては、興行主や出演アーティスト、あるいはファンなどの意向を踏まえる必要があります。他方、当社施設にしたところで、各テナントと協力して取り組むことはもちろんのこと、街区と街区とをつなぐ公的空間の活用に関しても関係各位との調整が必要です。立場が異なれば思惑や狙いも違うし、業界が異なれば常識も違います。明確な正解がないなかで、こうした違いを乗り越え各プレイヤーの意見をすり合わせていくという難しさは、開発も運営も同じですね。
駒野
私自身も、設計の知見もなければ、ホテル開発・運営の知見もないなかで、プロジェクトマネージャーとして全体スケジュールと事業費をコントロールしながら、様々な関係者とともに事業を進めていくという難しさがあります。しかも、超高層の複合物件における大規模改修工事は前例もあまり無く、計画そのものが挑戦と言えます。だからこそ、それぞれのノウハウに長けた専門家の懐に飛び込みながら、事業を進めるにあたって必要な情報を集めていくしかないと考え、実行しています。ちなみにお二人は、どう困難と向き合っているのですか?
新妻
駒野さんと同じです。まずは各プレイヤーの話を真剣に聴くこと、その意見の前提にある各位の想いを理解することを重視しています。そのうえで、各プレイヤーのメリット・デメリット、一致している理念、妥協が必要な部分を可視化しながら議論を進め、実現に向けてすり合わせを行っていきます。
石井
関係各位の意見の取りまとめでは、私も先輩方が実践されているように、それぞれの立場になって考えることを心がけています。とはいえ、経験したことのない立場の方々の意見の根幹にある心情にまで想いを馳せることはとても難しく、チームの先輩方のお力やお知恵を拝借しながら、コミュニケーションを深めるための試行錯誤を続けています。それでも最近思うのは、まちづくりというのはステークホルダーが儲かれば良いというような単純な話ではないということ。第三者を含め、その街に関係するすべての人たちの幸せを愚直に追求すべきだし、その努力こそが関係各位の街への想いを強くし、誰にとっても愛着が湧く街へとつながっていくのだと。
新妻
商売においては基本的に、便益を受ける人がお金を出す、という仕組みが適切だと思いますが、ことまちづくりにおいては皆が便益を受けていると思えるような仕組みに仕立てていくことが大事。結局、「三方よし」の実現こそがサステナブルだと思うし、デベロッパーたるもの「全方よし」という理想を忘れてはいけないと思います。
©Pokémon. ©Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémon は任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
駒野
新妻さんや石井さんのプロジェクトとは異なり、私のプロジェクトは関係者もグループ内の人たちがほとんどなので、その点では仕事もしやすい環境にあると感じています。ですが、それでもなお仕事の難しさに変わりはありません。それだけにいまは、各社各位と困難を一つひとつ乗り越えることで深まっていく絆みたいなものが、私の大きなモチベーションとなっています。それに経験や知見を身につけ、できることが少しずつ増えているという日々の手応えを感じますし、それが自信にもつながり前に進む原動力となっています。
石井
絆というご指摘、すごく分かります。私が担当している案件の関係者はざっと100人を超えますが、なかには意見が対立する人もいます。ですが、それも当たり前の話で、年齢も生い立ちも異なる人たちと日常的に向き合っていかなければならないし、友達同士のように簡単に分かり合えるわけでもないからです。だからこそお二人も、相手の意見や発言の根幹にある心情まで理解しようとしているのですよね。自分だけが人を想い、街を想っていても何も始まらない。相手の想いを引き出してはじめて、そこに絆が生まれ、私たちの仕事は始動する。分かり合うことの難しさは同時に、デベロッパーという仕事のやりがいなのだと実感しています。
新妻
それに前例がないという困難も、前人未踏の領域に足を踏み入れるというやりがいと表裏一体ですよね。みなとみらいに限っても、約13万人の就業者を抱え、来街者はコロナの影響を受けても年間で6,000万人を超えます。こうした街に関わる人たちと、私たちは一緒に魅力あるまちづくりを目指していける。そうそうできる体験ではないと思います。
石井
関内駅前の再開発でも、先ほど触れたように新しいモノやコトを生み出そうと挑戦しています。こうした野心的な計画、前例のない取り組みを実行に移せるのも、開港の地としての進取の気性と、「浜っ子」たちの強い地元愛があればこそだと思っています。それだけに私も本プロジェクトの担当として、関内の再開発を各エリアをつなぐ拠点開発へと昇華させたいですし、それによって横浜の新旧融合を図り、横浜という地名を世界へと轟かせていきたいと願っています。
新妻
たしかに、みなとみらいに多様な施設が集積できたのも、そうした風土や文化、DNAみたいなものが、横浜に深く刻まれているからかもしれないですね。当初はみなとみらいに集積する企業についても、本社機能や支店機能の移転を想定していましたが、時の経過とともにR&D機能まで集積するようになりました。いまではスタートアップ支援拠点も構えられるまでとなり、エリアマネジメントにおいても、グランモール公園を活用したイベントを開催、住民や来場者の方々の満足や期待の声がとても多く寄せられました。交流を生み出す公的空間の在り方については、公園を管理する横浜市とディスカッションしています。
駒野
いまのお二人のお話だけでも、横浜という街のポテンシャルの高さが分かりますよね。何より、横浜の人たちはみなとみらいという街に、私たち以上の愛着を持ってくださっています。学生の皆さんにとっても訪れやすい街だと思いますし、特徴的で開放感のある横浜の魅力を、多くの人たちに知ってほしいと思っています。そして、色々なところに行政や地元の方々、そして私たち三菱地所各担当者の想いや考えが現れていますので、デベロッパーを志す学生の皆さんにはぜひ、そうした視点で街を見ていただけるとうれしいです。
※所属、掲載内容は取材当時のものです
新妻 弘紹
まちづくりの仕事の根幹は、人々の日常を日々支え続けるものだと感じています。コロナを経てリアルの場の価値が再定義されるなか、多くの人々の日常を支えるからこそ、より多くの人々にちょっとした刺激や、街としての魅力を感じてもらえるようなアプローチをつねに考え続けなければいけないし、それができる会社だと思います。
みなとみらいという多彩な要素を持つ街のなかで、様々なプレイヤーの想いのベクトルを合わせ、街としてのトータルの発展を目指していくことがミッションだと感じています。視野を広く持ち、フットワーク軽く動き、いつも想いを巡らせながら、これからもまちづくりに携わっていきたい。そうした強い気持ちを込めています。
駒野 誠一
大丸有やみなとみらいといった日本を代表するまちづくりの開発から、エリアマネジメントに代表される運営まで、つねに次のランドマークを探求し続ける姿勢をもっている会社だと感じています。そして私自身もいま、この名を冠した物件を担当するなかで、単なるシンボルではなく街のアイデンティティを形成していることに、少なからず誇りを感じていますね。
幼稚園から大学までずっとサッカーをやっていた私にとって、サッカー・日本代表の長友選手はサッカー選手としても人間としてもずっと憧れの存在です。熱血漢だけでなく、周りへの配慮を欠かさないその姿勢に多くの人が心を打たれ、つねに前向きな雰囲気が生み出されています。フィールドこそ違いますが、長友選手を目標に、私も同じようにポジティブな影響を与えられる存在になりたいです。
石井 光月
デベロッパーは多くの人の想いを引き出し、それをかたちにしていく職業だと感じています。自分たちの色を出しすぎても、関係各位の色を出しすぎても、良いプロジェクト、良い街は成立しない。それを熟知しているからこそ、三菱地所の人たちは圧倒的な当事者意識とポジティブさで、関係するすべての人たちの想いを引き出す努力を惜しまないのだと理解しています。
困難の壁に立ち向かい、乗り越える、または遠回りしても反対側に行くことができた壁は、将来的に自分を守る盾になってくれると信じています。デベロッパーの仕事も大小様々な壁が存在します。とりわけ関係者との信頼関係の構築は、大きな壁のひとつ。それでも向き合う努力を続ければ、必ずや分かり合える瞬間が訪れます。そこで育まれた関係はきっと、これからの自分の大きな助けになると確信しています。