PROJECT STORY
MARUNOUCHI
東京を、日本を先導するまちづくり
大丸有エリア開発
丸の内は、NEXTステージへ。
新たな再構築が始動する。
PROJECT STORY
MARUNOUCHI
東京を、日本を先導するまちづくり
丸の内は、NEXTステージへ。
新たな再構築が始動する。
野口 夏希
プロジェクト開発部
有楽町街づくり推進室 副主事
社会学部 社会学科 卒
2014年4月入社
針山 朋泰
プロジェクト開発部 内神田開発室
政策・メディア研究科
情報工学・認知心理学専攻 修了
2019年4月入社
※所属、掲載内容は取材当時のものです
野口
三菱地所は現在、大手町・丸の内・有楽町エリア(以下、大丸有エリア)で「丸の内NEXTステージ」と位置づけた大規模な再構築計画を進めています。
針山
この計画の代表的なプロジェクトが『TOKYO TORCH』であり、そして野口さんが携わっている「有楽町エリア再構築」ということになりますね。
野口
針山さんも新入社員としてこの部署に配属された当初は、私と同じように有楽町のプロジェクトに関わっていましたよね。
針山
ええ。実は私が新入社員だった頃のトレーナーが野口さんだったのです。
野口
そう。あの頃の針山さんは個性あふれるというか、元気があり過ぎて……(笑)。
針山
そうでしたか(笑)。現在は担当も変わって、私は大丸有エリアに隣接する内神田エリアで進める『(仮称)内神田一丁目計画』に携わっています。
野口
この三菱地所のホームグラウンドともいわれる大丸有エリアでは、これまでおよそ10年の単位で大規模な再構築が進められてきました。2002年の『丸ビル』開業を皮切りにしたファーストステージでは丸の内を中心としたエリアの再構築。次のセカンドステージでは大手町にもエリアを拡大し、そして2020年から新たなNEXTステージが始まりました。
針山
大手町・丸の内・有楽町エリアの面積は約120haで、約100棟のビルがあり、約4,300の事業所が集まっていますね。また、エリア全体の就業人数は約28万人。これほどのスケールで、多種多様な価値観と意思のもとに構築されている街は、おそらく世界的に見ても稀ではないでしょうか。それも建物だけならともかく、地下通路やエネルギー供給といったインフラにまで波及している。日本のまちづくりの、世界に向けた巨大なショールームのような存在だと思います。
野口
そのダイナミックなまちづくりの大きな特徴となっているのが、行政と地権者が一体となった官民連携によるエリアマネジメントです。大丸有エリアの象徴ともいえる『丸の内仲通り』の洗練されたあの空間も、長年にわたる官民の協議のもと、その想いが一つになって形づくられているのですよね。 ところで、針山さんは大丸有エリアで好きな場所を一つ挙げるとすると、どこでしょうか?
針山
うーん、難しい質問ですね。あえて一つ選ぶとするなら、『大手町ビル』でしょうか。最近、大規模なリノベーションが施されましたが、それでも随所に約60年前の竣工当時の面影が残っていて、丸の内の歴史が伝わってくるところが気に入っています。
野口
私は『丸の内パークビル』かな。ビル内の商業エリアであるブリックスクエアのお洒落な空間もさることながら、あの東京駅前の一等地に庭園をつくってしまったことに驚きを感じます。同じ開発者の立場になって改めて実感するのですが、とても大胆な発想ですよね。ビルを建てるのではなく、あえて庭をつくることによって、丸の内というエリア全体の価値を高める。そう発想できることが、三菱地所ならではの街づくりの考え方だと思います。
針山
大丸有エリアで進む再構築でいま新しいステージとなっているのが、野口さんが携わっている有楽町エリアです。どのようなまちづくりを目指していますか?
野口
ひと言で表現するなら、「人が主役のまちづくり」でしょうか。大手町、丸の内という2つのエリアと比べると、有楽町は街のイメージがこれまで曖昧だったと感じています。そこで有楽町に多様な人たちが集う仕組みをつくって、これまでにない新しい価値を生み出していこうと考えています。
針山
2019年にスタートした『Micro STARs Dev.』は、その先駆けといえるプロジェクトですね。このプロジェクトの特徴は、多彩な外部プロデューサーとの協業のもとに進められていること。自分たちにはない知見を外部から能動的に取り込んでいこうという姿勢は、これまでのまちづくりにはない発想で大胆だなと感じます。
プロジェクトの拠点としてつくられた『micro FOOD & IDEA MARKET(以下、『micro』)』と『SAAI wonder working community(以下、『SAAI』)』もユニークですよね。『micro』は、まだ価値が定まりきらないモノ・コトを披露する複合型店舗。『SAAI』は、コワーキングのための施設であるばかりでなく、コミュニティやインキュベーションの機能がとても充実しています。
野口
有楽町に集う人たちがアイデアを生み出す場が『SAAI』、そこで具現化したモノ・コトを披露するステージが『micro』と、私たちは位置づけているのです。
針山
『SAAI』では、丸の内エリアで働く人が利用することも想定しています。大手町や丸の内の企業に勤めながら、同じエリアにある『SAAI』の仕組みを使って起業ができる。この発想もすごく面白いですよね。
野口
そのとおりで、『SAAI』や『micro』を拠点にして、有楽町ばかりでなく、大丸有エリア全体の価値を高めていこうと考えているのです。
針山
このように先行するプロジェクトに続いて、新築ビルの計画もいよいよ動き出しました。有楽町駅前にある『有楽町ビル』と『新有楽町ビル』の2つのビルを建て替える大規模プロジェクトです。現在はどのような段階にあるのですか?
野口
『Micro STARs Dev.』と同じように社外の方の力もお借りしながら、様々な議論を重ねているところです。けれども、まだ企画段階なので公表できないことも多くて……。
針山
なるほど。では、野口さんは個人的にどのようなビルを建てたいと思っているのでしょうか。
野口
そうですね。抽象的な表現かもしれませんが、一つイメージしているのは、機能がその空間のなかだけで閉じていないビル。何が行われているのか、外から見ても感じられる、賑わいが滲みだす空間にしたいと考えています。『Micro STARs Dev.』で培った価値や、集って頂いている人も大切にしながら、目的地や待ち合わせ場所にもなるような有楽町のシンボルとなる建物をつくり出してみたいですね。
野口
「丸の内NEXTステージ」では、大丸有エリアだけにとどまらず、銀座や日比谷、八重洲、日本橋、そして神田など、周辺エリアとのつながりのあるまちづくりを目指しています。針山さんが担当する『(仮称)内神田一丁目計画』は、まさにその結節点となるプロジェクトですね。
針山
そのとおりです。そもそも江戸時代まで遡ると、大手町や丸の内が大名屋敷の町だったのに対して、神田は商人たちの町。そんな過去の背景も現在の特性も異なる2つのエリアを結びつけようというのが今回のプロジェクトです。
野口
その象徴ともいえるのが、大手町と神田の境界となっている日本橋川にかける人道橋ですね。
針山
ええ。川幅約40mの日本橋川に橋をかけます。これほど大がかりで、しかも橋をつくるというのは、三菱地所のまちづくりのなかでも初の試みではないでしょうか。
野口
橋をかけることよって、丸の内エリアを南北に貫く仲通りが神田エリアまで延伸します。回遊性を高める上で、非常に重要な機能になると感じます。
針山
それに加えて、橋とつながる神田側のエリアに約1,000㎡の広場をつくる計画です。ここで丸の内エリアと連動したイベントや、神田の地域の文化や歴史にちなんだ催しができたらいいですね。
野口
広場に隣接するオフィスビルでは、「食と農」に関わる支援施設も構想されています。なぜ、「食と農」を?
針山
神田は、居酒屋発祥の地ともいわれるように飲食関係の老舗がいまも多く残る街です。また、江戸時代、日本橋川には「鎌倉河岸」と呼ばれる荷揚げ場があって、農産物の流通拠点にもなっていたのですね。
野口
その「鎌倉河岸」に由来するユニークな企画も進んでいますね。
針山
日本橋川に新しい船着き場をつくり、有事は防災として、平時は街の活性化のために船を行き来させようと考えています。ロンドンのテムズ川、ニューヨークのハドソン川など、川とそこを行き来する船が文化として根づいている街が世界にはたくさんありますよね。そんな風景を、神田を起点に復活させたいです。
野口
神田は文化も歴史も深い街ですから、計画を立案するためには、地権者をはじめ地元の方々との協議がなによりも重要になりますね。
針山
地元の人たちと会う度に、神田と鎌倉河岸という土地に愛着を持ち、文化や伝統を伝えていきたいという想いの強さを感じます。地域の人たちの想いや期待に応えることの大切さを肌で学ぶことができるのは、自分にとってのなによりもの財産だと思っています。
野口
それが神田や有楽町での再構築の難しさであり、三菱地所のまちづくりの醍醐味ですよね。
野口
ところで話は変わりますけど、針山さんは学生時代、情報工学や認知工学を専攻していたのですよね。
針山
そうです。ITやデータを通じてまちづくりに貢献したいなと思ったことが入社動機の一つでもあります。
野口
そのまちづくりを知るということでは、丸の内エリアは最高のステージだと思います。実際そこに飛び込んでみて、いまどう感じていますか?
針山
確かにITで変えられることはたくさんあります。けれども、変えることのできない大切なものがあることにも気づきました。それは、いま話した人の「想い」です。その深さや重さはけっして定量化できないですよね。ITに任せられる業務は任せて、その分、様々な人たちと想いを共有する時間を大切にしていくべきだと感じています。
野口
そのとおりですね。私自身、大丸有エリアで地権者や行政の方々と協議をしていて一番に感じるのは熱量の大きさ。東京や日本全体を見渡したうえで、この丸の内を世界に誇れる街にしていこうと誰もが真剣に思っています。
針山
それは神田でも同じですね。いま進めている「食と農」の支援施設も、神田だけでなく、東京を、日本を元気にしていく存在を目指しています。 野口さんは5年後、10年後、丸の内エリアはどのような街になっていると想像していますか?
野口
それはとても難しい質問ですね。これまでつくり上げてきた丸の内や大手町の街並みや文化を継承しながらも、従来の三菱地所のイメージとはまた違う価値が付加されているといいなと思っています。その頃には、私たちがいま進めている『有楽町ビル』と『新有楽町ビル』が新しい姿に生まれ変わり、有楽町の街のシンボルになっているはず。そのビルを見上げた人が「なんだ、このビル、見たことがないな、これまでの三菱地所と少し違うな」といい意味で違和感を持ってもらえたら、それが私たちにとっての最高の褒め言葉だと思っています。
※所属、掲載内容は取材当時のものです